2024年 電子顕微鏡解析技術フォーラムにつきまして

2024年 電子顕微鏡解析技術フォーラム

~こんな視かたが!染色だけじゃないポリマー、ソフトマテリアルの観察方法~

2024年8月23日(金)〜8月24日(土)合宿形式

開催地:アヤハレークサイドホテル(滋賀県大津市におの浜3丁目2−25)

日本顕微鏡学会・電子顕微鏡解析技術分科会では、機能性材料や電子デバイスの評価に関する身近な疑問点をざっくばらんに話し合う場として「電子顕微鏡解析技術フォーラム」の開催を企画しています。

今回のフォーラムでは、日々新材料が開発されており、且つ電子顕微鏡解析が困難なソフトマテリアルを取り上げ、「こんな視かたが!染色だけじゃないポリマー、ソフトマテリアルの観察方法」と題し、従来技術を振り返った上で、無染色観察、クライオ電子顕微鏡、レオロジー等の多岐に渡るテーマを取り扱い、解析手法のみならず、材料物性まで一歩踏み込んだ議論を展開します。また、このフォーラムの特色である“ざっくばらんトーク”では、参加者の皆様が抱えている課題や疑問点を発表していただき、今後のご研究に役立つ議論をいたします。また、日頃のご研究成果や解析事例についてご発表いただける方も募集いたします。

電子顕微鏡に携わる皆様、奮ってご参加ください!

= プ ロ グ ラ ム 

  • チュートリアル
    「高分子多成分系の無染色ナノスケール観察」                      陣内 浩司(東北大学)
     高分子材料の開発では、複数の異種成分のブレンド、結晶化度や結晶形態の制御、などで物性の向上を目指します。従来、ブレンドの相分離構造や結晶構造の形態観察には電子染色によるコントラスト増強が用いられてきました。しかし、電子染色による構造変化の可能性、染色できる高分子種の制限、などが電子顕微鏡による高分子材料観察・解析の障害となってきたことも事実です。本講演では、高分子材料を無染色で“真実の姿のまま”観察するための最近の観察手法を紹介する予定です。

    「材料系クライオ電顕技術の現状と課題 ― 液状試料の微細構造解析 ―」
       島貫純一((株)日産アーク)

     工業材料の分野では、基材に原材料である液状物を塗布し、乾燥させることで、機能性膜(例えば、電池電極膜、塗装膜、化粧膜など)を成膜させる湿式プロセスが多く用いられている。機能性膜の膜構造を制御するためには、原材料である液状物の内部構造を把握することが重要である。一方、クライオ電顕技術は試料を急速凍結し、適切な前処理や観察を行うことで液状試料の観察や分析が可能である。本講演では、生物系分野で構築されたクライオ電顕技術をベースに材料系試料へ応用した際の事例を紹介する。また、材料系ならではの課題についても述べる。

    「いまさら聞けないレオロジー」                                           
     増渕 雄一(名古屋大学)

     レオロジーは物質と流動の科学です.2面性がある学問で,その一つは流動変形挙動の定量化です.もう一つは物質内部のダイナミクスの分光解析です.これらの基礎についてお話しします.

  • トピックス
    「走査透過型電子顕微鏡による接着メカニズムの解析」
     堀内 伸(産業技術総合研究所)

     接着界面には、分子レベルからミクロンレベルの様々なスケールの構造が含まれる。接着メカニズムを理解するためには、界面構造を可視化し、さらに、界面の破壊現象を精密に解析する必要がある。走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、接着界面現象を実空間3次元構造として明らかにし、さらにEELS(Electron Energy Loss spectroscopy)、EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometry)による局所分析により、分子間相互作用を明らかにする。

    「Low-loss STEM-EELSデータのポリマー解析への活用」
     梅本 大樹(旭化成株式会社)
     本講演では、Low-loss帯のSTEM-EELSスペクトルマッピング技術を活用したポリマーアロイのイメージング解析法について紹介する。一般的に、ポリマーアロイに対するイメージング手法として電子染色-TEM法が用いられるが、適切な染色剤のない物質の解析(汎用性)や定量解析性が課題であった。一方、EELSスペクトルを用いた手法は、あらゆるポリマーに対して適用可能なうえ、定量的に成分濃度分布を解析できる。ここでは、上記解析手法に加え、現在検討を進めているLow-lossスペクトルを基にしたポリマー分類データベース構築の試みについても述べる

    クライオ電子顕微鏡法を活用したソフトマテリアルのイメージング」 
     竹内 麻智(サーモフィッシャーサイエンティフィック)

     クライオ電子顕微鏡法は、電子線やイオンビーム照射による試料へのダメージを低減できることや、試料を急速凍結させることにより乾燥させることなく自然に近い状態で構造観察可能といったメリットから、ライフサイエンス分野だけではなく、近年では材料科学分野でもソフトマテリアルを中心としたさまざまな材料への応用が期待されています。本発表では、クライオ電子顕微鏡法を用いたソフトマテリアル(例:エマルション)の解析事例や試料作製法についてご紹介します。

    「製品開発におけるクライオ観察技術の活用」
     村上 和歌子(株式会社リコー)
     
    実際の製品の設計開発において、クライオ観察技術をどのように活用しているのか、工夫点等について、いくつかの事例とともに紹介する。 インクジェット用サプライ製品であるインクは主成分として、色材・樹脂等の固形成分と、溶媒・界面活性剤等の液体成分から構成されており、各材料の分散状態や印刷時に形成される構造が品質を左右する。また、レーザープリンター用サプライ製品である重合トナーはO/Wエマルジョンから造られる製造工程が最終品質に重要な影響を与える。今回、凍結レプリカ法(フリーズフラクチャー法)とクライオSEM観察法を用いてこれらのサプライの構造や変化の過程を明らかにすることを試みた。特に溶媒中での樹脂成分の観察結果について議論をしたい。  
  • ざっくばらんトーク
    今回はソフトマテリアルの電子顕微鏡解析にテーマを絞って皆様からの疑問や質問を募集します。試料作製や実際の観察・解析の疑問点から最新技術について、質問を投げかけてください。

  • 一般講演 募集
    『解析事例の紹介』 
    今回のテーマと関係なく募集します。
    (発表時間:20分(質疑応答含む))

 

参加費
日本顕微鏡学会個人・法人・学生 25,000円
協賛会員 26,000円
学会会員外 30,000円
※参加費は課税対象(10%税込)となります。

定員:50名 

申し込み期間:2024年7月2日(火)~7月19日(金)(定員になり次第締め切ります)

申し込み方法
7月2日に電子顕微鏡解析技術フォーラムHP上にてお申込みフォームのURLを公開いたします。サイトにアクセスして頂き、必要事項をご記入の上、お申込みください。

お問い合わせ先(事務局): 日鉄テクノロジー(株) 水尾 有里 
e-mail: mizuo.yuri.8dg@nstec.nipponsteel.com


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